当医院は、歳をとってもご自身の歯を大切に、健康な生活ができるサポートを予防ケア、治療を通して行っています。
歯を大切にする意識は早ければ早いほどいいのです。だからこそ、お子様が歯医者さんを怖がらず、健やかな成長を願う味方だと感じてもらえるように、お子様と保護者の方に寄り添った診療を心がけています。心配事など気軽にご相談ください。
目まぐるしく変化する時期だからこそ注意したい。
歯が生える前の乳児から永久歯に生え変わるまで、身体がすくすく成長するのと合わせて、口の中も大きく変化しています。
乳児で歯が始める時期から永久歯に生え変わるまでの6歳~14歳ぐらいまでの15年ほどは口の中は大人が思っている以上に複雑な動きをしていて、とても大切な時期です。
生え変わりのタイミングというだけでなく、乳歯と永久歯の両方が混在するので、歯列がデコボコしていて大人よりブラッシングが難しい時期でもあります。
乳歯が抜け、永久歯が生えきるのにおよそ半年~1年かかります。黒い部分は生え変わり時期にむし歯になりやすい箇所です。
子供の歯の特徴
子供の口の中は目まぐるしく変化するだけでなく、歯の質も大人と大きく異なります。
〇子供のむし歯の進行は大人より早い。
歯の表面のエナメル質は人間の体の中で最も硬い組織です。ですが、子供の歯(乳歯)のエナメル層は大人の歯(永久歯)のエナメル層の2分の1と言われています。そのためむし歯になった時にむし歯の進行が大人より早くなります。
また、乳歯が抜けて生えたばかりの永久歯はまだ充分に硬くなく、生えた後に数年をかけて少しずつ強度を増すため、永久歯がそろう15歳くらいまでは大人以上に口の中の環境に注意する必要があります。
〇痛みを感じにくいため、重症化しやすい。
子供の歯が時間をかけて徐々に大人と同じ永久歯になるのは歯の表面だけでなく、歯の神経も同じ。大人の歯の神経に比べ、子供の乳歯は歯の中の構造が違い痛みを感じにくいという特徴があります。また、子供が「歯が痛い」といっても翌日には痛みがないという事も少なくありません。痛みが出ないようにするのが一番ですが、お子さんが痛みなど歯の違和感を伝えてきたらすぐに歯医者さんに行き診てもらってください。
乳歯の状況がその後に大きく影響します。
「乳歯は生え変わるから大丈夫でしょ?」
そう言われる親御さんが少なくありません。
確かに新しい永久歯が生えるなら、乳歯は多少むし歯になっても問題ないと考えるのも無理はありません。ですが、乳歯がむし歯になると、その後の口の中の環境や、永久歯に様々な影響を及ぼします。
永久歯は乳歯よりエナメル層が厚いためむし歯への抵抗力が強いはずですが、それは大人の永久歯の場合です。まず、永久歯のではじめは歯肉が被っている状態で少しずつ出てきます。その間清潔にできていないと虫歯になりやすくなります。また、子供の場合、永久歯が生えてから数年間は「幼若永久歯(ようじゃくえいきゅうし)」といい、唾液のCaイオンを吸収してエナメル質が丈夫になるので、永久歯が生えたばかりの時の歯は未完成の状態になります。
そのため、乳歯の時期にむし歯がある状態が続いていれば、口の中にむし歯の細菌も多いため、新しく生えた幼若永久歯もむし歯になりやすくなります。
乳歯がむし歯になると、そのむし歯の状態によっては、乳歯の下で形成途中の永久歯のエナメル層が形成不全になり、永久歯のエナメル層が薄くなる場合があります。
他にも乳歯がむし歯によって生え変わりの時期ではないのに、抜かなくてはならなくなると、歯並びがずれ、さらによく噛めないため顎がずれてしまいます。歯並びは上下の顎の発育と合わせて適切な時期に歯が生え変わることが重要です。
また、早く乳歯が抜けてなくなると、永久歯が早くはえてきてしまったり、隣の歯が傾いて、まっすぐ生えてこなかったり、正しい位置に生えない場合もあります。適切な時期に生えても幼若永久歯というまだ歯の状態が弱いにも関わらず、更に早く生えてきてしまうと通常以上にむし歯になりやすく、歯並びも悪くなる原因になります。
怖くない治療Tell・Show・Doと痛くない治療
歯の治療は大人でも怖いもの。子供ならより恐怖に感じると思います。また、小さいお子さんほど治療の必要性がわからず怖がって口を開いてくれません。また、子供は怖い事が痛みと感じてしまう場合があるため当院では無理やり治療をすることはせず、お子さまの不安や恐怖を軽減させ、気持ちに寄り添った治療の手順、Tell・Show・Do(テル・ショー・ドゥ)を大切にしています。
〇Tell(話して)
子供の話をよく聞いて、そしてこれから何をするか説明します。雑談もするなどコミュニケーションを大切にしています。
〇Show(見せて)
実際に使う器具を見せたり、触ったりしてもらいます。
〇Do(行う)
お子さんが納得してから治療を開始。治療中もTellを大切に。何をしているか説明しながら治療を行います。
また、痛くない治療にも配慮しています。
歯を削る振動で痛みを感じやすくなる場合もあるため、その際は機械の回転数を下げて削るスピードをゆっくりにしたり、麻酔が必要な場合も麻酔自体がチックと痛みを感じる場合がありますが、麻酔を痛くなく安全に行う最新の技術で行うようにしています。痛みが恐怖になり、「歯医者さんには行きたくない」とならないよう心がけています。
定期的なむし歯予防管理
当院ではむし歯予防に力を入れています。
むし歯予防には歯医者さんでの定期的なお口の中の管理(口腔管理)とプロフェッショナルクリーニングで清潔にすることが大切ですが、子供の場合は歯自体が弱いため、プラスαの予防ケアが有効です。
適切なタイミングで予防をするためにも、お子様が小さな時から歯医者さんに通い出すことが大切です。
〇「シーラント」で歯の溝を保護
シーラントは奥歯の溝に樹脂を流して固めることで、汚れがたまりやすく、歯磨きの難しい歯の溝を埋めてむし歯になる可能性を減らす予防措置です。永久歯の中で一番早く生えてくることが多い6歳臼歯が生えた時にシーラントをすることをお勧めします。
(シーラントの注意点)
むし歯になった時の治療で行う詰め物などは、取れにくいように歯を削って形を整えますが、シーラントは歯の溝に樹脂を流し込んで固めるだけなので、取れてしまう場合があります。その時はもう一度治療をする必要があります。
(シーラントの費用について)
シーラントは健康保険が適用されます。
シーラントで保険が適用されるのは、6歳臼歯は12歳の誕生日まで。その他の臼歯は18歳まで保険が適用されます。健康な歯に対するむし歯予防目的では保険適用外です。
〇「バリアコート」で歯の側面も保護
バリアコートは「シーラント」ではできない、歯の側面や前歯などに薬剤を塗って光で固めることで透明になります。この透明のバリアで歯を保護し、むし歯を作る細菌を付きにくい状態にします。
その他にも、細菌が出す「酸」に耐えやすい状態にしたり、プラークが付きにくくなったり、歯の再石灰化を促し、歯を強くしてくれます。
小学校の歯科検診で多くの子供を見ていると、上の前歯の唇側にむし歯をつくってしまう子供がいます。おそらくスナック菓子や清涼飲料水などが多い食生活をしているためと考えらます。バリアコートは予防だけでなく、そのような初期むし歯にするのも有効です。
(バリアコートの注意点)
バリアコートを塗れば絶対むし歯にならないという事ではありません。普段のケアで口の中を清潔に保つこと、歯医者さんでの定期的な口腔管理を行う事とセットになって効果があります。
(バリアコートの費用について)
自費診療の治療になります。
550円/1本。
〇「フッ素塗布」で歯の強化と酸の生成抑制
フッ素は3つの働きで歯を強化、むし歯予防を助けます。
① エナメル質の強化
子供のエナメル質は大人の2分の1です。フッ素を塗ることでエナメル質を強化することができ、酸に溶けにくく、むし歯になりにくい効果が期待できます。
② 歯の再石灰化
飲食をすると口の中は酸性になり、歯の成分が溶け出る「脱灰(だっかい)」が起きますが、唾液などが歯を修復して「再石灰化」をします。脱灰に再石灰化が追いつかないとむし歯になります。フッ素は脱灰で溶けた状態を元の状態する再石灰化を促します。
③ 酸の生成抑制
むし歯菌は、糖分を分解して「酸」を生み出します。
フッ素はむし歯菌の働きを弱め、酸の生成を抑えます。
(フッ素塗布の注意点)
フッ素は歯医者さんでの定期的な口腔管理と合わせて、定期的なフッ素塗布を継続することがお勧めです。
(フッ素塗布の費用について)
当医院を受診されているお子様へのフッ素塗布は無料で行っております。
〇定期的なお口の中の管理とプロフェッショナルクリーニング
一生歯科医院に通院しなくていい人はほとんどいないでしょう。
歯科器具の音や薬剤の味は大人でも苦手なものです。予防や歯医者さんでの定期的な口腔管理を含めた歯科治療に小さい時から慣れて、習慣化することは、長い人生で健康に生活することの土台になります。
歯を削る器具の音や薬剤の味を一度に体験するむし歯治療の段階で歯医者さんに行くのではなく、予防段階で定期的な口腔管理やクリーニングで歯医者さん通い、歯を見てもらうことや薬剤の味や器具の音や感触にもなれることで、歯医者さん対しての苦手意識がなくなります。
・歯医者さんでの定期的なお口の中の管理
むし歯の有無と歯ぐきのチェック、歯垢の除去を行うことで予防ができます。また、親御さんにブラッシングのポイント指導やお口の中の状況の説明とお悩みを伺う歯科相談を行います。
・クリーニング(PMTC)
PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)は、歯科医院で行う専門家による専用の機器を使った徹底した歯の洗浄です。歯の染め出し検査で磨き残しのある箇所を確認し、普段の歯磨きでは落とせない磨き残しのプラークやバイオフィルムの除去を行います。
PMTCは6歳臼歯がではじめたら、年に1、2回受けることをお勧めします。再診の場合は定期的な口腔管理と同じ日に受けることも可能です。
(PMTCの注意点)
PMTCは治療が必要な状況の場合は行う事が出来ないため、初診ではお口の中の状態がわからないので初診でのPMTCは原則しておりません。再診以降で治療が必要のない場合行う事ができます。再診以降の方でPMTCを予約した場合でも治療が必要な場合は応急措置をし、後日治療後改めてPMTCを行うことになります。
(PMTCの費用について)
自費診療になります。
5,500円
〇家でのケアについて
歯は歯科医院での予防や歯医者さんでの定期な口腔管理だけでなく、家でのケアがとても大切です。
・感染予防
生まれたばかりの赤ちゃんは無菌状態です。大人のむし歯菌が移らないように、スプーンや箸は周りの方々と別の物を使用してください。
・食事指導(シュガーコントロール)
食べたらすぐ歯を磨けばいいと考えがちですが、むし歯の栄養源であるショ糖をなるべく少なくなくしないといけません。むし歯菌の活動が活発にならないための食習慣のアドバイスもいたします。
・仕上げ磨き
小さなお子さんが1人で歯ブラシをしっかりするのは難しいもの。お子さんの歯を守るために8歳くらいまでは大人が「仕上げ磨き」をしましょう。お子さんの口の中の注意すべき点、仕上げ磨きのポイントをお伝えいたします。
小児の特徴の外傷治療もいたします。
子供の歯の治療で特徴的なものとして、外傷治療があります。
例えば、転んだり、ぶつかって歯がグラグラしたり、抜けてしまうなど、もしものケガの治療もいたします。
治療したのに・・・。こんな事に困っていませんか?
他院で治療したけど見て欲しい。と治療の確認、再治療を受けにいらっしゃる患者さんは大人に限らずお子さまでもいます。「大人に比べて子供のむし歯治療は簡単でしょ?」と思われがちですが、子供ならではの口の中の特徴もあり、子供の口の中の状態に合わせた治療のポイントと技術が必要になります。
例えば、
〇治療してもすぐ外れる
むし歯治療ではむし歯を削り、詰め物をしますが、その際しっかり乾燥させることが大切ですが、子供は唾液が多く詰め物が外れない状態にするには技術が必要になります。
〇痛みが取れない
詰め物がきちんと接着ができてない場合や、むし歯の取り残しがある場合はむし歯が更に進行、悪化してしまい、神経が死んでしまったり、根の中に膿がたまり痛みが出る場合があります。
お家ケアは70点、歯医者さんと一緒に100点ケアを目指そう!
「子供のむし歯は親の責任」といわれます。もちろんその通りではありますが、一方で子供にむし歯ができないようにしなくてはと過度なプレッシャーを感じている方も少なくないようです。
もちろん、親御さんがしっかり注意して、むし歯ができないことがベストですが、一人ひとり口の中の状況は異なります。何もしなくてもむし歯ができないお子さんもいれば、しっかり日々のケアをしていてもむし歯になってしまうお子さんもいます。
また、お子さんの歯は大人の歯と違い弱い特徴があります。頑張り過ぎて逆に歯を痛めてしまう例もたまにあります。
親御さんがすべてを抱え込んで100点を目指そうとするのではなく、定期的に歯医者さんに通うことで、お家のケアは70点を目指し、歯医者さんと一緒に100点になるほうがたとえむし歯になっても重症化せずに対処でき、さらにはお子さまが歯医者さんに定期的に通うことが当たり前になることで、将来にわたって歯の健康が保たれる基盤となるはずです。
< 小児歯科(一般歯科)料金表 >
※消費税込
むし歯治療
●一般的なむし歯治療 健康保険適用
●中心結節の治療 ¥16,500/1本(自費診療)
予防歯科
●シーラント(歯の溝) 6歳臼歯は12歳の誕生日まで健康保険適用。その他の臼歯は18歳まで保険適用。
●バリアコート(歯の側面) ¥550/1本
●フッ素歯面塗布 乳歯・幼若永久歯のお子様へのフッ素塗布は診察をした際無料で行っております
クリーニング(PMTC)
¥5,500(自費診療)
子供は歯周病にはならず(遺伝性若年性歯周炎などは例外)歯石や着色は付く量が少なく、歯石も少なく柔らかいそのため、大人のPMTCの内容とは異なります。