“よくかめる” “浮かない” 義歯のかみ合わせの決定について(咬合採得)
精密印象が終了した次にかみ合わせの決定をします。
かみ合わせは歯と歯どうしでかむ部分がある場合その安定する所で決まりますが、
無歯顎の場合はかむ所がありません。
そこで術者が義歯の入るスペースのため高さを決定する必要があります。
かみ合わせの決定の作業を “ 咬合採得 ” といいます。
義歯作製のステップとして
単純印象→精密印象→かみ合わせ(咬合採得)→試適→完成
の順の三番目の工程になります。
咬合採得には高さを決める装置が必要なため、咬合床と呼ばれるものを使用します。
<咬合床の作製について>
まず、前回ブログの精密印象後のようにボクシングをして
模型を作製後、噛み合わせの高さを決める装置を作っていきます。
( 精密印象後の模型 )
当院では、オストロンという素材で基礎の部分を作ります。(基礎床)
粉と液体で混ぜて固まると硬くなる素材で模型に合わせて圧接します。
理由として、
基礎の部分が柔らかいと口腔内で動いてしまう事と咬ませた時に曲がってしまうため
このような土台を作ります。
オストロンを圧接後、模型からはみ出た部分をトリミングします。(例として緑色の線の部分)
次にパラフィンワックスと呼ばれるものを基礎床に取り付けます。
このようにして咬合床を作製し、臨床に使用しています。
臨床ではワックスを熱で柔らかくしてお口を閉じていただいて高さを決めます。
図の下の基礎床の外側の部分が義歯の外枠になりますので
この部分が舌、頬、口唇とバランスをとれるているか
口腔内で確認をします。
うまくいっていないと完成した義歯が浮いてきてしまったり、痛い所がでできますので
ここで精密印象の状態も判断しています。
咬合採得の難しい点は
下顎は “ 3D ” に動くこと
が一番です。
患者様が緊張していても精度が落ちてしまいます。
印象がやや甘くても咬合採得がうまくいかないと痛くてかめません。
痛くてかめない原因はここの工程がほとんどになります。
最重要ではと考えています。